がん闘病の中で抗がん剤治療は辛い治療の一つです。
妻の治療時も吐き気や体のだるさといった副作用が辛く、テモダールを使った治療を中断しました。
日に日に痩せていく妻を見ていたので、これ以上頑張れとは言えませんでした。
体への負担を抑えた副作用の少ない薬に変えてもらい、病状も落ち着いています。
しかし、再発の不安は常にあります。
そんな中で、「がんゲノム医療」講演会のお知らせを目にしました。
万が一に備えて最新の医療について学ぼうと、妻と一緒に参加することにしました。
同じような不安を抱えている方がいらっしゃるのではないでしょうか?
私たちが参加した「がんゲノム医療」に関する講演会での学びと、そこから感じた最新医療への期待について、皆さんにお伝えしたいと思います。
同じ立場の方々の参考になれば幸いです。
がんゲノム医療とは
がんゲノム医療は、一人ひとりのがんの性質を詳しく調べて、その人に合った治療を行う新しい方法です。
がん細胞そのものではなく、血液などの細胞の中にある設計図(遺伝子)を調べることでがんに至った遺伝子の故障箇所を調べます。
一人ひとり違う遺伝子情報から、がんに至る特徴を見つけ出し、がんに効く最適な薬を知ることができます。
がんゲノム医療:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]国立がん研究センターが運営する公式サイトです。
メリット
- 個々の患者に最適化された治療法の選択が可能
- 副作用の軽減と治療効果の向上の可能性
- 希少がんに対する治療法発見の可能性向上
- がん研究の進展に貢献し、将来的な治療法改善につながる
- QOL(生活の質)の維持・向上の可能性
デメリット
- 高額な検査費用(一部保険適用あり)
- 遺伝子に対応する薬が存在しない場合がある(2024年現在で自分に合う薬に結びつく人は10%程度)
- 遺伝情報の取り扱いに関するプライバシーの問題
最新医療への期待
講演会で印象的だったことは、血液検査だけでがんの性質がわかるかもしれないということです。今までは手術でがん細胞を取り出さないといけませんでした。
血液検査で済むなら、患者さんの負担がぐっと減ります。これは画期的です。
もう一つ面白かったのは、がんの分け方が変わるかもしれないということです。
今までは「肺がん」「脳腫瘍」というように、がんのできた場所で分けていました。でも、ゲノムがん治療では遺伝子の情報で分けます。
私たち夫婦が闘っているグリオーマは、珍しいがんの一つです。だから、情報を集めるのにも苦労してきました。でも、検査が簡単になって分け方が変われば、もっとたくさんの情報が集まるはず。新しい治療法が見つかるかもしれません。
この変化は、私たちのような珍しいがんと闘う人たちにとって、大きな希望になると思います。
現実の課題
一方で、がんゲノム医療にも課題があります。
まず、この新しい治療法が役立つ人がまだ少ないんです。
今のところ10人に1人くらいしか効果的な治療法が見つかっていないそうです。
これには、いくつか理由があります。遺伝子変異が複雑すぎること、効く薬がまだ少ないこと、検査にも限界があること、そして患者さんのデータがまだ十分に集まっていないことなどです。
検査費用の保険適用を広げたり、遺伝子情報を扱う時のプライバシー問題を解決することで、もっと多くの人が検査を受けられるようになります。
そうすれば、新しい治療薬の開発も進むんじゃないでしょうか。
まとめ
今回、参加した「がんゲノム医療」に関する講演会では私たち患者とその家族に新たな希望をもたらす最新医療の可能性を感じました。
マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」には賛否両論がありますが、これを活用する道もあるかもしれません。
もし、しっかりとしたセキュリティのもとで個人情報や遺伝子情報を管理できれば、大規模な医療データの収集が可能になります。そうすれば、統計分析を通じて、より多くの人に有効な新薬の開発が加速するのではないでしょうか。
具体的なアクションとしては、まず身近なところから始めたいと思います。
例えば、近隣の連携病院で遺伝子検査を受けられるかどうか、主治医の先生に相談してみようと考えています。
そして、もし私たちの病状に適した新薬が開発されれば、ぜひ治験にも協力していきたいです。私たちの経験が、誰かの希望につながるかもしれません。そう考えると、闘病生活にも新たな意味が生まれてきます。
これからも最新の医療情報をキャッチアップし、皆さんと共有していきたいと思います。一緒に、より良いがん治療の未来を築いていきましょう。