医療AIが変える闘病生活~グリオーマ患者家族が感じた希望と可能性~

AIライフサポート

院内SEとして医療現場のDX化を推進する業務に携わりながら、グリオーマの闘病に活用できる技術を探しています。
先日参加した医療AI活用セミナーで目の当たりにした技術革新が、私たち患者家族の悩みを解決する可能性があります。
「あと何年生きられるのだろうか」「この症状は大丈夫だろうか」
医師との短い診察時間では聞ききれない不安を、AIが24時間365日サポートしてくれる時代が始まろうとしています。
実際の体験と専門知識を交えて、医療AI活用の現実的な可能性をお伝えします。

医療現場が直面する現実

院内SEとして病院で働いていると、今後確実にやってくる人手不足への危機感を日々感じています。
医師も看護師も限られた時間の中で、一人でも多くの患者さんに質の高い医療を提供しようと奔走していますが、この状況は今後さらに厳しくなることが予想されます。
一方で、グリオーマ患者の家族として振り返ると、特に闘病生活の始まりでは聞きたいことが山ほどありました。
「この症状は大丈夫だろうか」「薬の副作用が心配」「生活で気をつけることは?」
今では状況は落ち着いていますが、当時は限られた診察時間では十分に相談できない現実がありました。

AIが変える患者サポートの可能性

セミナーで最も印象的だったのは、AIが作成した治療方針や患者説明資料を医師が確認し、「これなら患者さんに説明できる」と評価した瞬間でした。
医療の知識がない患者にとって、自分の状況を理解し、「こんなときはどうなのか?」という疑問に答えてくれる可能性が見えました。

24時間対応の心強いパートナー

妻の高次脳機能障害による記憶障害で、服薬管理や症状の変化を見守る日々ですが、
深夜に「頭痛がひどくなった」「いつもと違う症状が出た」といった不安を感じたとき、AIが即座に相談に応じてくれる可能性があります。

  • 緊急性の判断(すぐ受診すべきか、様子を見ても大丈夫か)
  • 応急処置の方法
  • 症状を記録するポイント
  • 次回診察時に医師に伝えるべき内容の整理

パーソナライズされた生活指導

一般的な「脳腫瘍患者の生活指導」ではなく、妻の具体的な病状・検査結果・生活環境に基づいた、オーダーメイドの提案。
「今日は疲れやすそうだから、こんなスケジュールがおすすめです」「この検査値の変化から、食事でこの点に注意しましょう」
そんな細やかなサポートが実現するかもしれません。

「完璧でなくても価値がある」理由

「AIは7〜8割の精度で、まだ完璧ではない」「ハルシネーション(誤情報)のリスクがある」
AIの技術はまだ発展途上であり、確かにその通りです。でも、不完全なのは人間も同じではないでしょうか?

  • 医師によって説明の内容や詳しさが違った
  • 看護師さんへの質問も、その人の経験により回答に差があった
  • 医療ソーシャルワーカーから得られる情報も担当者によって異なった

医療事故や訴訟が起こるのも、完璧な人間が存在しないからです。
大切なのは「AIをどう使うか」という私たちの姿勢です。

AIの最大のメリット:遠慮なく質問できること

人間相手だと「忙しそうだから」「同じ質問を何度もして申し訳ない」と遠慮してしまいます。
AIなら何度でも、どんな基本的な質問でも気兼ねなくできます。
だからこそ「間違いがあるかもしれない」という前提で、容赦なく質問し続けることがメリットなのです。

がん告知を受けたとき、私たちは何から手をつけていいか分からない状況でした。
「あと何年生きられるのか」「今後どんな治療をするのか」
ネットの情報は良いものと悪いものが混在し、信頼できる情報を見つけるだけで大変でした。
そんなとき、もしAIが最初の相談相手になってくれたら。
完璧でなくても、不安に寄り添い基本情報を整理してくれるだけで、どれほど心強かったでしょう。

医療現場の現実と今後の展望

医師に相談することが最も重要なのは言うまでもありません。
しかし、現実として医療資源は減り続け、主治医との相談時間は限られていきます。

AIとの相談は有力な補完手段になり得る具体的な場面

  1. 診察前の準備強化:AIで整理した質問を効率的に医師に相談
  2. 診察後のフォローアップ:診察で聞ききれなかった不安や疑問をAIで解消
  3. 日常的な体調管理:継続的な健康管理アドバイスをAIから受ける
  4. 緊急時の判断支援:休日・夜間の症状変化時の初期対応指針

このような使い方ができれば、限られた医療資源をより効果的に活用できるのではないでしょうか。

今回のセミナー参加で技術的には、既に実用レベルに達していると感じました。
課題は技術よりも、医療制度・プライバシー保護・責任体制の整備にあります。

まとめ

医療AI活用は、患者と家族にとって新たな希望です。
完璧ではないかもしれませんが、24時間寄り添ってくれるパートナーとして、私たちの闘病生活を支えてくれる可能性を秘めています。

技術的基盤は整いつつあります。
あとは医療制度の整備と、患者・医療者の理解促進が鍵となります。

私たちができること

  • 新しい技術に対する建設的な議論への参加
  • 患者視点での実用的なフィードバック提供
  • プライバシーと利便性のバランスを考えた制度設計への協力

技術の進歩と共に、患者中心の医療がより実現しやすくなる。
そんな未来に向けて、私たちも積極的に情報を発信し続けていきたいと思います。
グリオーマと共に歩んできた経験を活かし、同じ境遇の方々に少しでも希望をお届けできるよう、これからも医療AI活用の可能性について発信していきます。

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