診察室に呼ばれ「グリオーマ(脳腫瘍)です。」と告知される。
「がん」という言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になる。
これは、多くの患者さんやご家族が経験することだと思います。
2015年、妻が突然てんかん発作でたおれ、搬送先の病院でグリオーマ(脳腫瘍)と診断されました。
少し時間がたって冷静になると様々な不安が押し寄せてきました。
「今後、どんな治療をするか?」
「生活や仕事はどうなるのか?」
「お金はどのくらいかかるのだろう?」
「どのくらい生きられるのか?」
この記事では、グリオーマと診断されたらどのような準備をすればよいか?
私たちの体験をもとにお伝えします。
本記事で伝えること
- 標準治療の流れ
- 治療の判断
- 心構えと準備
標準治療とは?全体の流れを知る
私たちの治療は以下の流れでした
- 腫瘍の診断と評価:MRIや生検で腫瘍を特定(数週間)
- 摘出手術:腫瘍を可能な限り摘出(4週間程度)
- 放射線療法:腫瘍部位に放射線を照射(6週間程度)
- 化学療法:定期的な投薬(約1年)
- 維持療法:定期的なMRI検査と化学療法で経過観察(月1回)
入院による治療が一段落しても、日常を取り戻すのに時間がかかります。
退院後も不定期にてんかん発作が起こり、抗がん剤の副作用に悩む日々が続きました。
主治医と相談しながら新しい生活リズムを作るのに、3年もかかりました。
治療を選択するポイントは?
グリオーマの治療方法は、腫瘍の種類によって大きく変わります。適切な治療法を選ぶために、まず腫瘍の特性をしっかりと理解することが重要です。
主に考慮すべき点は以下の通りです。
腫瘍の特性
- 位置と大きさ
- グレード(悪性度)
日常生活への影響
- てんかん発作の頻度
- 社会復帰できるか
- 末期に至るリスク
妻の診断結果は、右前頭葉にあるグリオーマで、悪性度のグレードははっきりしないというものでした。主治医の説明によると、このまま様子を見ているだけでは症状が進行し、最悪の場合、命に関わる可能性があるとのことでした。
一方で、腫瘍の位置が手術で切除しやすい場所にあることも分かりました。
総合的に判断し、私たちは摘出手術を選択しました。
腫瘍の特性や予想される影響を理解した上で、自分たちの価値観や生活スタイルも考慮に入れて判断することが大切だと感じます。
闘病生活の準備と心構え
グリオーマの治療で家族の生活は大きく変化します。
以下の点に注意して準備をしましょう。
心のケア
患者本人が最も大きなショックを受け、不安を抱えています。その気持ちに寄り添い、不安を一つずつ丁寧に聞いてあげることが大切です。
「大丈夫、なんとかなるさ」といったポジティブな言葉をかけ、気持ちを支えてあげてください。
仕事の調整
治療に専念するためには、長期の休暇が必要です。状況によっては退職を検討することをお勧めします。心配な方もいらっしゃるでしょうが、利用できる公的支援が多くありますので、それらを積極的に活用しましょう。
生活環境の見直し
専門医療機関への通院が頻繁になります。退院後も定期的な通院が必要なため、可能であれば病院の近くへ引っ越すことを検討してください。
また、後遺症に備えて、家の改修が必要になる可能性もあります。
サポート体制の構築
お子さんがいる家庭や、地方に住んでいる方は、仕事、家事、育児を一人で抱え込むことになりかねません。親族や友人に状況を説明し、協力を求めましょう。
私自身、地方在住で子どももいたため、両親に県外から来てもらい、サポートしてもらいました。
経済面の準備
高額療養費制度を利用して、経済的負担を軽減しましょう。加入している民間保険の保障内容も確認してください。病院の医療ソーシャルワーカーに相談すると、様々な情報や支援を得られますので、積極的に活用してください。
自身のケア
これから始まる闘病生活は長く厳しいものになります。一時的な使命感や気持ちだけでは乗り切れません。周りの目を気にせず、自分なりのリフレッシュ方法を見つけ、実践してください。
あなたが倒れてしまっては元も子もありません。
家族を思うのと同じように、自分自身を大切にすることを忘れないでください。
まとめ
グリオーマとの闘いはつらく長い道のりです。
この苦難を乗り越える力となるのが家族の協力と周囲のサポートです。
そして、前向きな考えを持ち続けることが、困難な状況を改善していく鍵となります。
私たちも課題を一つずつ解決することで、診断前とは違う形ではありますが、家族3人で健やかに暮らせるようになりました。
できなくなることを嘆くのではなく、今できることに目を向けることの大切さを学びました。
同じ境遇にある皆さんも、私たちの体験を参考にしていただければと思います。
一緒に、この困難を乗り越えていきましょう。
今後も、治療で直面した課題やその対処法について、情報を発信していく予定です。
皆さんの闘病生活の一助となれば幸いです。