医療費の増大が社会問題となる中、10月から新たな診療報酬改定が実施されます。今回の改定の焦点は「長期収載品の選定化」。
一見難しそうな言葉ですが、要するに「安い薬を使おう」という取り組みです。
後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養 について後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養に関するページです。関係通知や対象医薬品等、必要な情報を掲載します。
改定の背景と内容
日本の国民皆保険制度は、みんなでお金を出し合って弱者を支える仕組みです。しかし、高齢化が進み、制度の維持が難しくなっています。このような状況を踏まえて登場したのが、後発医薬品(ジェネリック)の積極的な使用を促す今回の改定です。
具体的には
- 同じ効能が期待できる後発薬品がある薬は、原則としてそちらを使用
- 価格の高い先発薬品を使用する場合は理由の明記が必要
- 自己都合での価格の高い先発薬品を使用する場合は差分1/4が自己負担になる
病院からもらう処方箋に「患者希望」にチェックが付いていれば自己負担があります。
改定の舞台裏
医療費を減らすために安い薬を使う取り組みは理解できるのですが、仕組みを作る側からすると難しい点がたくさんあります。
特に、病院のシステムを変えるのが大変なんです。
例えば
- 薬の管理システムを変更する必要があります。どの薬が「長期収載品」なのか、システムで判断できるようにしなければなりません
- 薬の効果が違うのか、患者希望なのか記録を残す必要があります。電子カルテシステムの更新が必要になります
- 会計システムも変える必要があります。患者希望で「長期収載品」を選んだ時、追加の料金を計算できるようにしなければいけません
- 新しいルールに沿って医師や看護師、薬剤師、会計事務が患者さんへの案内方法を考える必要があります
現行の医療保険制度は複雑です。
医療費負担が3割だということを知っていても、どの医療行為を選択してその値段になっているか?
レストランでメニューを選ぶのとは違い、内容と価格を考えながら選択している人はほとんどいないのではないでしょうか。
今回の改定では「長期収載品」という種類が追加され、薬の選択理由が必要となり、1/4という金額設定が追加されます。
複雑な医療保険制度がまた複雑になったと感じています。
今回の改定内容を理解するために関連文書を何度読んだことか。。。
値段の高い薬を保険対象外にしたいのであれば、現行のルールで対応できなかったのだろうか、と疑問に思います。
ルールの追加だけでなく、簡素化の観点も必要ではないでしょうか。
医療でもITでも人手不足です。
人手不足の中で今まで通りのやり方をしていたら不具合が発生して大きなトラブルになります。
医療の質を保ちながら、医療DXを進めていくのであれば、効率的で分かりやすい制度を作ることが、これからの課題だと言えるでしょう。